麻雀の倫理

麻雀のグレーゾーンを考察

小手返しと手出しツモ切りアピール①

小手返し、皆さんは普段するでしょうか?
する・しない、上手・練習もしたことない、など小手返しの実践経験についてはいろんなパターンがあるかと思います。
僕はするかしないかで言えばする方です。
頻繁にするわけではないですが、理牌として右端の必要牌と不要牌を入れ替えたりするのに使ったりします。
序盤で浮き牌の優劣が変化した時や、イーシャンテンで溢れる可能性の高い牌を右端に寄せておいてテンパイの牌と小手返ししてリーチ、みたいな感じです。
そうやって何気なくしている小手返しですが、果たして問題にはならないのでしょうか?
ということで、今回は手出しとツモ切りのモーションをテーマに考えてみます。

そもそも小手返しとは、手出しツモ切りをわからなくさせる動作というのが元来の目的です。
ですが最近では、ただの牌弄りや、前述の僕のケースのように理牌として活用するというように、対局者へのアクションというより、自己完結する牌捌きとして利用される側面が多いように感じます。
ただの牌捌きのテクニックとしてなら小手返しはいくらしようと問題はないのですが、物議を醸し出しかねないのは、小手返しが本来手出しツモ切りを誤魔化す為のものであるという背景です。
ということで先に身も蓋もないことを言ってしまうと、
『イカサマを彷彿とさせるグレーな背景があり、ゲーム上不要な動作である小手返しはするべきではない』というところに落ち着いてしまうと思います。
するべきかしないべきかで言うと、それはするべきでないという結論に至らざるを得ないと思うのですが、
そう言ってしまっては考えがいがないのでもう少し掘り下げてみましょう。

①プロは小手返しをするのか
これについては少し触れておきたかっただけなので言いたいことだけ書きます。
プロ団体の公式対局では推奨されていない団体もあるようです。やはり余計な動作としての小手返しを嫌う考え方もそこにあるのでしょうか。
また、モンド名人戦などに出ているような昔いるようなプロは小手返しを披露しています。
逆に女流などでは推奨されていないようですし、最近の配信対局でも小手返しはほとんど見かけません。
これは『小手返しはしないが無難』という考え方が浸透し始めているのではないかと感じました。
ただ、ベテランのプロ達が小手返しをするのは見ていてかっこいいと思われる部分はあると思うので、視聴者から支持を得られるのではないでしょうか。
牌捌きとしての小手返しがニーズに応じて最適化されていってるのかなと、プロの小手返しについては感じました。

小手返しで手出しツモ切りは誤魔化せるのか
ここからが本題です。
手出しかツモ切りを観察する上で、果たして小手返しをされたからといってそれがわからなくなるようなことはあるでしょうか?
もちろん、何回も小手返しをしたり、2枚以上飛ばしなどの高度な小手返しを複数回されたり、疲労が溜まっていて右端から切ったように見えたけど今小手返ししたっけ?となったり、というようなケースではわからなくなるかもしれませんが、
前者のような小手返しをしまくるのはさすがに小手返しの是非以前のマナー違反として咎められるでしょうし、後者のような状態では手出しかツモ切りかという情報をまともに活かせる状態ではないので例外とします。
そのような例外の状況を除けば、一回や二回の小手返しでは手出しツモ切りを判別する妨げにはならないと思います。
劇画の世界のような音も鳴らず、目にも止まらない牌捌きは現実的ではありません。
以上のことから、小手返しに手出しツモ切りをわからなくさせる効力は無いと考えます。
それでも、手出しツモ切りを誤魔化す意図で小手返しを使ったしたらそれはどうでしょう?

③手出しツモ切りを誤魔化す小手返しはイカサマか?
そもそも手出しツモ切りをわからなくさせることは、どの程度悪質なのでしょうか。
まず材料を挙げてみます。
・原則として捨て牌前にツモってきた牌を手牌の中に入れることはマナー違反である
・ネット麻雀において手出しツモ切りはシステムとして判別可能である
・牌捌きはゲーム進行とは無関係な動作である
このような判断材料を挙げるだけで僕の言いたいことは伝わった気はしますが、それぞれ少し噛み砕きます。
まず一つ目ですが、手出しツモ切りを誤魔化すために小手返しをするということは、ツモった牌を手の中に入れてる状態になります。まあ、良くないですよね。
次に二つ目、ネット麻雀にはチョンボがありません。それはそもそもチョンボというのはゲーム上あり得ないことだからシステムとして組み込まれていません。そのネット麻雀で手出しツモ切りの判別の可否がシステムとして組み込まれているということは、麻雀において手出しツモ切りが判別できないことはあり得ないことと考えることができます。ネット麻雀は麻雀として後発的なものですが、システムを組み立てる上で排除された要素、残された要素は吟味されているはずです。なのでネット麻雀で実現されていることは客観的に麻雀の原則が精査された結果と考えてよいのではないでしょうか。
そして三つ目、牌捌きのテクニックなんて一切なくても麻雀はできます。なので、牌捌きはゲームの進行とは無関係、卓外の要素なのです。磨き上げた卓外の要素を使ってゲーム上の判断材料が阻害されることはあってはならないことと思います。

以上のことから小手返しは、マナー的ルール的に無いべきもの、あり得ないものであり、
分類するならばそれはイカサマと言えるのではないでしょうか。
僕は論理的には小手返しはイカサマという評価が妥当と考えました。
よって長くなりましたが、手出しツモ切りを誤魔化す意図で小手返しをするということは、イカサマをしているに等しいと僕は考えます。
なのでそのような意図での小手返しは悪ではないでしょうか。

④牌捌きとしての小手返しはアリか?
牌捌き自体は卓外の要素と書きましたが、牌を扱う以上、通常の牌捌きならしてはならないことではないと思います。
小手返しでも自分の切り番でないのなら、それこそただの理牌にしかならないので問題には至らないのではないでしょうか。
僕がよくする小手返しリーチは、手出しツモ切りを誤魔化す意図を同卓者に感じさせるかもしれませんし、切る前にツモ牌を手に入れているという意味でダメですね。
切り番でない場合であっても、あまり小手返しをやり過ぎてカチャカチャする音が周りに不愉快に感じられるようでしたら、それはもちろんダメだと思います。

というように、小手返しが推奨されない理由を掘り下げてみました。
とはいえ、牌に触って牌を扱うことも麻雀の醍醐味の一つだとは思います。
何か公の場での麻雀であったり、同卓者に特に小手返しを嫌がる人がいたりというような場合でなければ、
多少の小手返しはご愛嬌ではないでしょうか?
自分の小手返しを擁護するわけではありませんが、そういった側面も現実としてある気はします。
実際僕は何度か親しい人に冗談っぽく小手返しリーチを指摘されて以来、小手返しはしないように心掛けてはいます。

ということで小手返しについては以上です。
手出しツモ切りについてはもう少し書こうと思うのですが、思った以上に長くなってしまったので、それは次回に持ち越します。
小手返しについてご意見ありましたら、お願いします。